交通事故のあと、「その場では何ともなかったのに、翌朝起きたら首が痛くて回らない」――これは、むちうち(頸椎捻挫)でよく知られている経過です。
「何日後まで痛みが出る可能性があるの?」「痛くないのに病院へ行く必要はある?」と迷う方のために、海外の医学論文をもとに、むちうちの症状が遅れて出る理由・すぐに医療機関へ行くべきサイン・早めに受診したほうがいい理由を、埼玉県三郷市(高州)のたかす接骨院 はり灸院がわかりやすくまとめました。
この記事でわかること
- むちうちの痛みが「あとから」出る理由
- 首以外に出やすい症状
- すぐに医療機関へ行くべき危険なサイン
- 痛みがなくても早めに受診したほうがいい3つの理由
- 痛みが出てきたときの過ごし方と、回復までの目安
結論:事故のあとは、痛みがなくても早めに受診を
- むちうちの痛みは、事故の数時間後〜翌日以降に出てくることがあります
- 手足のしびれ・力が入らない、首の真ん中を押すと強く痛む、などがあればすぐに医療機関へ
- 痛みがなくても、まず整形外科でケガの有無を確認し、記録を残しておくと安心です
- 痛みが出てきたら、寝込むより痛みの範囲で動かしたほうが回復しやすいことが、論文で示されています
むちうちの痛みは「あとから」出ることがある
むちうちは、追突などで頭が大きく前後に振られ、首に急な力がかかって起こるケガです。カナダのケベック・タスクフォースという専門家グループは、むちうちを「首に加速・減速の力が伝わるしくみ」と定義し、症状の程度で分類しています(Spitzer, 1995)。
事故の直後は、緊張や興奮で痛みを感じにくくなっていることがあります。また、首の筋肉や靭帯の小さな損傷による炎症は、時間がたつにつれて強くなることがあると考えられています。そのため、「その日は平気だったのに、翌日から首が痛い・重い」ということが起こります。
実際に、救急医療で首のレントゲンが必要かどうかを判断する基準として世界的に使われている「カナダ頸椎ルール」(約9,000人の患者を対象に作られた基準)にも、「首の痛みが遅れて出てきた」という項目が入っています(Stiell, 2001)。痛みが遅れて出ること自体は、珍しいことではないのです。
⚠ 「遅れて出た=軽い」とは限りません
カナダ頸椎ルールでは、痛みが遅れて出たことは「骨折の可能性が低めのサイン」の一つとして扱われています。ただし、これは他の条件とあわせて医師が判断するためのものです。ご自身で「遅れて出たから大丈夫」と決めつけず、一度は受診してください。
首以外に出やすい症状
むちうちの症状は、首の痛みだけではありません。次のような症状が出ることがあります。
- 首の痛み・こわばり・動かしにくさ
- 頭痛(特に後頭部)
- 肩や背中の張り・痛み
- めまい、気分が悪い感じ
- 腕や手のしびれ
ケベック・タスクフォースの分類では、首の症状に加えてしびれや力の入りにくさなど神経の症状がある場合は、より重い段階に分けられています(Spitzer, 1995)。こうした症状がある方は、まず整形外科などの医療機関で詳しく調べてもらうことが大切です。
すぐに医療機関へ行くべき危険なサイン
次のような場合は、接骨院ではなく、すぐに整形外科や救急外来を受診してください。
- 手足のしびれ、力が入らない
- 首の真ん中(背骨の部分)を押すと強く痛む
- 首を左右に回せないほど痛い
- 強い頭痛や吐き気がだんだん強くなる、意識がぼんやりする
- 65歳以上の方、スピードの出た事故や横転など激しい事故だった方
このうち「65歳以上」「激しい事故」「手足のしびれ」は、カナダ頸椎ルールでレントゲン検査が必要とされる「高リスク」の条件です(Stiell, 2001)。当院でも、問診や検査で骨折などが疑われる場合は、医療機関をご紹介しています。
痛みがなくても早めに受診したほうがいい3つの理由
理由1:見逃したくないケガがないかを確認するため
事故の直後は痛みを感じにくいため、骨折など重いケガに気づかないことがあります。整形外科でレントゲンなどの検査を受けておけば、安心して次のステップに進めます。
理由2:事故とケガの関係を記録に残すため
交通事故のケガで自賠責保険を使うには、「その事故でケガをした」ことがわかる記録が大切です。事故から日数がたってから初めて受診すると、事故との関係がわかりにくくなります。
事故から10日〜2週間以上たってから通院を始めたい場合は、先に保険会社とご相談いただく必要があります。違和感があるうちに、なるべく早く受診しておきましょう。
理由3:早めに動き出したほうが回復しやすいため
スウェーデンで行われたランダム化比較試験では、むちうちの患者さんを「早めに首を動かす運動を始めるグループ」と「首を固めて安静にするグループ」などに分けて比べました。その結果、早めに動かし始めたグループのほうが痛みが大きく減り、安静にしたグループの結果がいちばん悪くなりました(Rosenfeld, 2000)。
同じ研究グループの3年間の追跡では、6か月後に痛みがなくなっていた人の割合は、早めに動かしたグループで38%、安静にしたグループで17%でした。また、3年間の仕事を休んだ日数も、早めに動かしたグループのほうが大幅に短くなっていました(Rosenfeld, 2003)。
イギリスの研究でも、ソフトカラー(首のコルセット)を3週間つけるより、早めに運動を始めたほうが仕事を休む日数が短かったと報告されています(Crawford, 2004)。
早く受診して状態を確認しておけば、「どこまで動かしていいか」がわかり、安心して早めに動き出すことができます。
交通事故のあと、首や腰に違和感がある方へ
ご予約の際に「交通事故でのケガ」とお伝えください。初回に持ってきていただくものはありません。
当日のご予約はお電話でご確認ください。
痛みが出てきたら、自宅でできること
- 寝込みすぎない:痛みの範囲で、できるだけふだんの生活を続けましょう
- 首は痛みの出ない範囲で動かす:無理に大きく回す必要はありませんが、固めっぱなしにしないことが大切です
- 首のコルセットは長く使い続けない:医師から指示がある場合はそれに従ってください
- 症状をメモしておく:いつから・どこが・どんなときに痛むかを書いておくと、受診のときに役立ちます
上で挙げた危険なサインが出てきた場合は、すぐに医療機関を受診してください。
回復までの目安
むちうちに関する質の高い研究をまとめた報告では、多くの方は回復に向かう一方で、約半数の方が1年後も何らかの首の痛みを感じていたとされています。また、最初の痛みや日常生活への支障が大きい人ほど、回復に時間がかかりやすいこともわかっています(Carroll, 2008)。
「そのうち治るだろう」と我慢を続けるのではなく、早めに状態を確認し、回復の段階に合わせたケアを始めることをおすすめします。
三郷市のたかす接骨院 はり灸院でできること
当院では、交通事故のケガで来院された方に、まず問診と検査で状態を確認し、医療機関の受診が必要なサインがないかをチェックします。そのうえで、回復の段階に合わせて施術を行います。
- 痛みが強い時期:ハイボルトや超音波などの物理療法、痛みの少ない手技で、つらさの軽減を目指します
- 動かし方のアドバイス:首の動かし方・寝る姿勢・仕事や家事での体の使い方をお伝えします
- 回復してきた時期:ストレッチや運動の指導で、日常生活やお仕事への復帰をサポートします
- はり・お灸:首や肩まわりの筋肉の緊張が強い方には、はり・お灸の施術もご用意しています
交通事故のケガは、自賠責保険を使って通院できます。整形外科との併用や、事故から通院までの手続きの流れは、【三郷市】交通事故にあったら何をする?通院と手続きの流れで詳しく解説しています。
ほかの整骨院・接骨院からの転院も受け付けています。保険会社への連絡や手続きについて、わからないことはご相談ください。サポートいたします。当院の交通事故の施術については交通事故治療のページもご覧ください。
交通事故のあと、首や腰に違和感がある方へ
ご予約の際に「交通事故でのケガ」とお伝えください。初回に持ってきていただくものはありません。
当日のご予約はお電話でご確認ください。
まとめ
- むちうちの痛みは、事故の数時間後〜翌日以降に出てくることがある
- 手足のしびれ・首の真ん中の強い痛み・65歳以上・激しい事故などは、すぐに医療機関へ
- 痛みがなくても早めに受診して、ケガの確認と記録を
- 痛みが出てきたら、安静にしすぎず痛みの範囲で動かしたほうが回復しやすい
- 最初の痛みが強い人ほど長引きやすいので、我慢せず早めのケアを
参考文献
- Spitzer WO, Skovron ML, Salmi LR, et al. Scientific monograph of the Quebec Task Force on Whiplash-Associated Disorders: redefining “whiplash” and its management. Spine. 1995;20(8 Suppl):1S-73S.
- Stiell IG, Wells GA, Vandemheen KL, et al. The Canadian C-spine rule for radiography in alert and stable trauma patients. JAMA. 2001;286(15):1841-1848.
- Rosenfeld M, Gunnarsson R, Borenstein P. Early intervention in whiplash-associated disorders: a comparison of two treatment protocols. Spine. 2000;25(14):1782-1787.
- Rosenfeld M, Seferiadis A, Carlsson J, Gunnarsson R. Active intervention in patients with whiplash-associated disorders improves long-term prognosis: a randomized controlled clinical trial. Spine. 2003;28(22):2491-2498.
- Crawford JR, Khan RJ, Varley GW. Early management and outcome following soft tissue injuries of the neck: a randomised controlled trial. Injury. 2004;35(9):891-895.
- Carroll LJ, Holm LW, Hogg-Johnson S, et al. Course and prognostic factors for neck pain in whiplash-associated disorders (WAD): results of the Bone and Joint Decade 2000-2010 Task Force on Neck Pain and Its Associated Disorders. Spine. 2008;33(4 Suppl):S83-S92.
※この記事は一般的な情報をまとめたもので、個別の診断に代わるものではありません。症状が気になる方は、医療機関または当院にご相談ください。
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