肩関節周囲炎(五十肩・四十肩)
「肩が痛くて眠れない」「服の着替えがつらい」といったお悩みはありませんか?これらは、一般的に「四十肩」「五十肩」とも呼ばれる**肩関節周囲炎**の典型的な症状です。
肩関節周囲炎とは?
肩関節周囲炎は、40歳から70歳の年齢層に発症し、特に40代から60代の女性に多いとされています。
**主な原因**は、関節を構成する骨、軟骨、腱などの老化により、肩関節周囲の組織に炎症が起こることと考えられています。
肩の動きを良くする**滑液包**や関節を包む**関節包**が硬くなると、さらに動きが悪くなります。
| 年代 | 割合 |
| 50代 | 38% |
| 40代 | 29% |
| 60代 | 17% |
| 30代 | 9% |
| 70代以上 | 5% |
| 20代 | 2% |
: 肩関節周囲炎の発症割合(年代別)
**主な症状**は、「痛み」と「動きの悪さ」です。
* **痛み**: 肩を動かす時や夜中にズキズキとした痛みが出現し、眠れないこともあります。
* **動きが悪い**: 肩の動きが悪くなることで、手を上げたり、服を着替えたりすることが不自由になります。
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回復の経過と3つの期
肩関節周囲炎は、通常1〜3年くらいの経過で、次の3つの期を経て回復します。
治療は、この期に合わせて行うことが非常に重要です。
| 病期 | 症状 | 治療方針 |
| :— | :— | :— |
| **炎症期** |
・強い痛みがある ・夜間痛で眠れない ・肩の動きは比較的良いが徐々に拘縮が進行
| **安静**:炎症を落ち着かせることが大事。痛みが出にくい腕の位置を探し、リラックスできる環境を整える。痛いと感じる動作は徹底的に避ける。
| **拘縮期** |
・痛みが落ち着いてくる ・拘縮(関節が動きにくい状態)が中心となり、あらゆる方向に動きが狭くなる
| **温める**:血行を良くし、筋肉をほぐしながらゆっくり動かす。痛みのない範囲で少しずつ運動する。無理をすると悪化する場合があるので、痛みを我慢して動かす必要はない。
| **寛解期** |
・痛みはほとんどない ・拘縮が徐々にとれて、動きが改善していく
| **動かす**:痛みに注意して積極的に動かす。セルフエクササイズなどを利用して、動かす機会を増やしていく。 |
当院では肩の使い方や休め方の指導、温熱療法・電気刺激療法・超音波療法などの**物理療法**、
関節の動きや筋肉の柔軟性などを改善する**徒手療法**、そして適切な**運動療法**が行います。
日常生活でできる工夫
生活環境を工夫したり、手の使い方を変えることで、肩への負担を減らすことができます。
* **デスクワーク中**:時々休息を取り、ひじで円をかくように肩甲骨を動かす運動をして肩まわりの筋肉をほぐす。
* **座っている時**:ひじ掛けを利用し、タオルなどで高さを調整して肩への負担を軽減する。
* **運転**:長時間の運転は控え、シートを前にして脇が開き過ぎないようにする。
* **着替え**:服を着る時は**痛い方から先に**通し、脱ぐ時は**痛い方を後から**抜く。
* **荷物**:重い荷物は手で持つことを避け、**肩にかけるカバン**を使ったり、買い物では**カート**を利用する。
**肩と姿勢は仲良しです**。背中が丸くなると、胸部や肩甲骨周囲の筋肉が硬くなり、肩甲骨が動きにくくなって肩の動きが悪くなります。胸部や肩甲骨周りの筋肉を柔らかくして姿勢改善を図ることは、肩への負担軽減につながります。
また、全身のリラックス効果のため、お風呂に浸かって温めることや、ウォーキングなどの定期的な全身運動もおすすめです。
当院にご相談ください
肩関節周囲炎は、放置すると症状が改善しないことがあります。
痛みが強い、またはセルフエクササイズを行っても効果がない、痛みが増す場合は、速やかに中止し、ご相談ください。